DPF故障による車両火災について

DPFのような後処理装置では、有害な黒煙を除去するため、フィルター内が600度まで上昇させることがあります。当然ながら、周囲の排気周りの温度も高温状態になります。
思わぬ原因で、トラブルや出火となり、車両が走行不能になることがあります。その問題について今回ピックアップ致しました。

DPFでは、濾しとったススを燃焼処理させるため、DPF直前のDOC(酸化触媒)で燃料を燃やします。
この時、おおよそ200℃程度だったエンジンルームからの排気ガスはDOC後部では600℃にまで上昇します。このような操作により、DPF外部は非常に高温になります。


通常、DPFの外部にはグラスウールが巻いてあり、さらに遮熱板で覆われていますが、
それでも外部の温度は300℃近くになるのです。
出火に繋がった状況・内容とその原因
三菱ふそう 型式:FU64VUZ3X
出火状況・内容 | 原因 |
駐車場でDPF(排気ガス浄化装置)の手動再生を実施しながら休憩していたところ、再生開始から約30分後にエンジン回転が低下し、車両右後部から出火した。 | 調査の結果、何らかの外力によって排気管のテールパイプが変形し、排気ガス出口が後1軸目右輪外側タイヤに接近したため、DPF再生中の高温ガスによってタイヤが異常過熱され出火したものと推定 |
DPFドットコムから一言
工事用車両を筆頭に、悪路を走行することもしばしばあるディーゼル車では、
外装の凹みや傷には気を留めないかもしれません。
しかし、高温になるDPFや排気管などが変形、他部品へ接触・近接することにより出火する可能性があるため、ぶつけた感覚があった場合や、定期点検の際に
異常がないか確認が必要です。また、フランジや配管の錆びなどにより排ガスが噴き出ていることもあります。
手動再生中は車内で異音確認するだけでなく、車外部分にも異常がないかをご確認ください。
日産 キャラバン 型式:E25
出火状況・内容 | 原因 |
駐車場に停車後、マフラー付近から出火した。 | 調査の結果、車両側に異常は認められず、駐車時にDPF(排気ガス浄化装置)の自動再生中であり、排気管付近に木や枯れ枝や落ち葉等があったことから、DPFの自動再生中に付近の可燃物が排気管に接触または排気ガスに炙られて発火し、リヤバンパに延焼したものと推定する。 |
DPFドットコムから一言
走行中にDPFランプが点灯し、手動再生を求められることはしばしばあります。
しかし、何も考えずに適当な路肩や駐車場の隅で手動再生を行っていると、高温の排気ガスによって、マフラーエンド付近にある可燃物を燃やしてしまう可能性があります。
再生に入る前には必ず一度車を降りて、「周囲の可燃物(落ち葉溜まりや木製の壁など)がないか」「人の往来がある方向にマフラーが向いていないか」など、事前に確認しておきましょう。
三菱ふそう 型式:FV50VJXD3
出火状況・内容 | 原因 |
一般道路を走行中、荷台から発煙し出火した。 | 調査の結果、荷台から焼損している状況であった。また、当該車両の荷台には、排気ガスをマフラーから導入し荷台の凍結を防止するための改造が施されていた。 なお、当該車両は、火災発生前にDPF再生を10~15分実施したとのことであった。以上のことから、DPF再生の際の排気温度上昇に伴い床面温度が上昇し、荷台の積載物から出火に至ったものと推定する。 |
DPFドットコムから一言
乗用車と異なり、様々な用途で使用されるディーゼルトラックはしばしば業務に合った改造がなされることがあります。
道路運送車両法に則った改造がなされていたとしても、高熱になる部位付近に、意図せず燃料配管・可燃部品の取り回しが行われていたケースがあります。特殊改造を施してある車両の方や、後付排気ガス浄化装置(PMマフラー)を装着している車をお持ちの方は今一度、高温になり得るDPF、排気管周辺に可燃物がないかの確認をお願いいたします。
三菱ふそう 型式:FK71F
出火状況・内容 | 原因 |
一般道路を走行中、排気管から白煙が出たことから停車したところ、排気ガス浄化装置付近から出火した。 | 一般道路を走行中、排気管から白煙が出たことから停車したところ、排気ガス浄化装置付近から出火した。 調査の結果、排気ガス浄化装置(DPF)付近から焼損している状況であり、エンジン上部(ロッカーカバー)からエンジンオイルが漏れた痕跡があった。 また、ブローバイガス還元装置のバルブ(PCVバルブ)が詰まっていた。以上のことから、ブローバイガス還元装置のPCVフィルタが詰まったことによりエンジンの吸気系に吸入されたエンジンオイルが、DPFに流入して燃焼したことによるものと推定する。 |
DPFドットコムから一言
DPFのオイル回りでよく起こるのはブローバイガスフィルターの目詰まりによる吸気中オイル量の増加や、クランクケース内圧上昇などによるターボチャージャーからのオイル漏れがあります。
これらのオイル漏れによってDPFにオイルが付着し、発火の原因になるだけでなく、DPF性能そのものを低下させることもあります(触媒被覆による一時的触媒活性の低下)。
決定的なオイル漏れに至らなくとも、排気中のオイル量が増加することで、再生時にDPFへ蓄積するアッシュ量は飛躍的に増加するため、DPF早期目詰まりの原因にもなり、車両火災の原因につながることがあります。
フィルター類、オイル類の小まめな交換をお願いします。

いかがでしょうか。 DPFという排気の高温処理システムがあることにより、様々な点に気を付けなければいけません。
高速道路走行中の火災など、人命にかかわる非常に危険な事態を招く可能性もあるので、日々の整備や再生時の配慮を日頃から意識していただければと思います。
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