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【ディーゼル】コモンレールとは一体何者なのか!?メリット・デメリットを徹底比較!
目次
ディーゼルコモンレールとは「ディーゼルエンジン」には欠かせないシステムであり、エンジン性能を飛躍的に向上させる効果が期待できます。
今回は「ディーゼルコモンレール」の仕組みや、コモンレールに多い故障内容、メリットとデメリットについて元整備士が徹底解説します。
「コモンレール」について気になる方は是非、参考にしてみてください。
ディーゼルコモンレールとは?
ディーゼルコモンレールとは、エンジンの回転数や負荷に関係なく、噴射圧力を調整して噴射させるためのものを意味します。
ディーゼルエンジンの燃料噴射装置で、「レール」と呼ばれる容器に高圧の燃料を溜めておける特徴を持ち、電子制御を用いて最適な時期に最適な圧力で燃料を噴射可能です。
また、ディーゼルエンジンは「電子制御」と「コモンレールシステム」によって、燃料噴射が自由に行えるようになりました。
結果的に、コモンレールが開発されたことで、これまで妥協していた「噴射装置の性能」が解消されて出力や燃費、排気ガスなどのディーゼルエンジンの性能が飛躍的に向上した訳です。
コモンレールの詳しい仕組み
コモンレールは以下4つの装置で構成されています。
・ポンプ
・レール
・インジェクタ
・ECU
まず「ポンプ」は、燃料に圧力(最大1,800気圧)をかけて高圧状態にしてレールに送る効果があります。
次に「レール」では、ポンプから送られてきた高圧燃料を一時的に溜めておく「蓄圧室」として利用されます。
「インジェクター」では、エンジン1気筒につき1つ搭載されたものです。
主に高圧燃料を噴射するパーツとして利用されます。
最後に「ECU」では、圧力と燃料の噴射量や時期を制御する装置であり、インジェクターはECUの指示によって高圧燃料を噴射する仕組みとなっています。
それぞれの部品には異なる役割があり、4つの部品が正常な動きをすることによってコモンレールが活用できます。
コモンレールのシステム
コモンレールシステムでは、一度の燃料工程において、主な噴射以外にも前後に2回ずつの最大5回の噴射回数があります。
それぞれの噴射工程には名前があります。
・1工程目:パイロット噴射
・2工程目:プレ噴射
・3工程目:メイン噴射
・4工程目:アフター噴射
・5工程目:ポスト噴射
1つ1つの工程について解説していきます。
まず「パイロット噴射」では燃料着火前に空気と燃料を混合させる役割を担います。
空気と燃料を混合させることで、ディーゼルエンジン特有の「ガラガラ」という燃料音を、最小限に抑える効果が期待できるでしょう。
パイロット工程の次工程である「プレ噴射」では、燃料温度を穏やかに上昇させて小さく発火させる役割があります。
そのため、メイン噴射時の粒子状物質の発生を抑える効果が期待できます。
プレ噴射の後は「メイン噴射」です。
メイン噴射は出力を行うための噴射工程であり、コモンレールのシステムにおいて主となる噴射です。
メイン工程が完了した後は「アフター噴射」を行います。
アフター工程では、メイン噴射の燃え残りを無くすために行う噴射であり、完全燃料に近づける際に欠かせない工程でもあります。
アフター工程まで完了した後は、最後に「ポスト噴射」です。
ポスト噴射では、「排気管に燃料を送ること」を目的とした噴射であり、DPFによってPM(スス)を燃やし、フィルターの目詰まりを防ぐ効果があります。
それぞれのシステムには異なる役割があり、全てのシステムが正常に作動することで、噴射工程が行えることを覚えておきましょう。
コモンレールはトラックには欠かせない装置
トラックで利用されるディーゼルエンジンは、シリンダー内部を高圧にすることによって自力で発火させる仕組みです。
この「燃料噴射工程」をコントロールするのがコモンレールシステムであり、トラックには欠かせない装置になっています。
コモンレールシステムを活用することで、蓄圧室に高圧の燃料を一度溜め込むことが可能になり、各気筒に燃料を分配して、いつでも高圧噴射ができるようになりました。
つまり、コモンレールシステムは、トラックのエンジン性能を飛躍的に高めるためにも欠かせない装置とも言えます。
ディーゼルコモンレールで多い故障原因とは?
ディーゼルコモンレールに多い故障原因を5つ紹介します。
故障原因1.エンジンの振動が大きくなる症状
故障原因2.DPF・EGR・バルブ系の故障
故障原因3.トルク不足
故障原因4.黒煙・白煙の増加
故障原因5.始動不良
それぞれの故障が多い症状を解説した後に、もし不具合が発生した場合の対処方法についても解説しています。
是非参考にしてみてください。
エンジンの振動が大きくなる症状
コモンレールの中でも不具合が発生しやすい原因の1つに、「エンジンの振動が大きくなる」ことが挙げられます。
エンジンの振動が大きくなる原因としては、「インジェクターの噴射が正常に行われていないから」が考えられます。
特にディーゼルエンジンを搭載した車は、インジェクターが直噴式になっている場合が多く、常にエンジンの燃料にさらされる過酷な条件下にあります。
そのため、長年使用することで、内外部にカーボン汚れが蓄積され、インジェクター可動部の動きに乱れが生じ、不具合が発生します。
つまり、燃料噴射量やタイミングのばらつき、燃料室内での霧状燃料の偏在化も発生してエンジン振動が大きくなる原因になります。
【整備士が解説】不具合が発生した場合の対処方法は?
エンジンの振動音が大きくなった場合の対処方法は、整備工場での早期確認をおすすめします。
エンジンの振動音が大きくなっても、状態が悪化していなければ車は走行できます。
しかし、振動音が大きくなっているにもかかわらず、対処しないままではいけません。
そのため、整備工場での早期確認をしてもらい、原因の追求をしてみることをおすすめします。
DPF・EGR・バルブ系の故障
DPFやEGR・バブル系の故障もコモンレールの不具合に多い症状の1つです。
インジェクターが正常な霧状の燃料噴射が行えないと不完全燃焼により、大量のススが発生します。
また、噴射タイミングが少しでもズレるとDPF再生のためのポスト噴射が消失して、DPF再生が上手く機能しないなどの不具合が発生する可能性もあるでしょう。
これらの不具合が積み重なることで、DPFやEGR、バルブ系の故障に発展する可能性があります。
場合によっては、DPFの早期エラーやEGRクーラーの目詰まりが起こり、正常な給排気コントロールができなくなる原因にもなるでしょう。
【整備士が解説】不具合が発生した場合の対処方法
もし、DPFやEGRなどの部品に不具合が発生した場合には「リビルド品」への交換をおすすめします。
新品交換の場合、購入費用と作業工賃を含めると交換だけでも高額になりやすい傾向があります。
そのため、車の整備に詳しい方や整備士の方であれば、ご自身で交換する方法も良い選択肢です。
トルク不足
トルク不足もコモンレールの不具合に多い原因です。
主な原因には「インジェクター汚れ」が考えられます。 インジェクターの詰まりによって、燃料噴射量や噴射タイミングがズレ始めると、トラック加速時にトルク不足を感じやすくなってしまうでしょう。
【整備士が解説】不具合が発生した場合の対処方法
トルク不足を感じた場合には、一度整備工場に車を持っていき、整備に詳しいスタッフに確認してもらいましょう。
トルク不足については自分で確認するにも限界があります。
そのため、診断料は必要になりますが、症状改善のためには欠かせない費用になるでしょう。
黒煙・白煙の増加
黒煙や白煙などの増加も、コモンレールに多い不具合内容の1つです。
黒煙が発生する理由として考えられるのは、「インジェクターの詰まり」や「燃料室での偏在化」などが考えられます。
また、白煙の原因としては、燃料過多や排気系へのオイル混入が考えられるでしょう。
複数あるインジェクター部品のうち、1本でも詰まりが発生すると他のインジェクターが詰まり、部品分の噴射量を補正してしまいます。
噴射量の補正が行き過ぎてしまうと燃料過多が発生してしまい、未燃料燃料が排気系に回りこむ形になるため、白煙が出てしまうのです。
【整備士が解説】不具合が発生した場合の対処方法
黒煙や白煙の場合、インジェクターの詰まりが関係しています。
まず「黒煙」が発生した場合には、エアクリーナーの点検・交換やシリンダーとピストンの交換などがおすすめです。
詰まりの原因が分かると黒煙は解消されやすいでしょう。
次に白煙については「オイル下がり」が不具合の原因として考えられることから、オイル下がり添加剤を使用してオイル粘土を上げることをおすすめします。
もし、オイル添加剤を使用しても症状が改善しない場合には、修理工場に車を持って行き症状改善をしてもらいましょう。
始動不良
「始動不良」もコモンレールの不具合に多い症状の1つです。
始動不良についても、インジェクターの詰まりが原因である可能性が高い症状になります。
そのため、始動時に違和感を感じた場合には、すぐに整備工場に車を持っていくことがおすすめです。
【整備士が解説】不具合が発生した場合の対処方法
始動不良の場合には、整備工場での確認が最もおすすめです。
始動不良については色々な原因が考えられます。
そのため、自分だけで判断するのではなく、まずはメカニックに詳しい修理工場のスタッフに確認してもらいましょう。
早期発見がその後の修理費に関係してくる可能性が高くなります。
ディーゼルコモンレールシステムのメリット【4選】
ディーゼルコモンレールシステムには、以下4つのメリットがあります。
・メリット1.車の燃費が良くなる
・メリット2.燃料代が安くなる
・メリット3.加速性能が良くなる
・メリット4.補助金の対象になっている
メリット1.車の燃費が良くなる
コモンレールシステムは燃料噴射を効率的に行うための制御装置です。
そのため、効率的に燃料噴射が行えることで「燃費性能が良くなる効果」が期待できます。
また、ディーゼル車はガソリン車よりも熱エネルギーの変換効率も良く、2〜3割程度燃費の改善も期待できるでしょう。
メリット2.燃料代が安くなる
コモンレールシステムはディーゼル車に搭載される仕組みになります。
そのため、コモンレールシステムを搭載した車を選ぶことで「燃料代が安くなる」ことも期待できるでしょう。
特にディーゼルはガソリンよりも1Lあたりの燃料代が安くなる傾向にあります。
コモンレールシステムが搭載されたディーゼル車を選択するメリットは十分に大きいと考えられるでしょう。
メリット3.加速性能が良くなる
コモンレールシステムは、ディーゼルエンジンの性能を飛躍的に向上させるために欠かせない装置です。
また、エンジンの回転数や負荷に関係なく噴射圧力を調整して噴射できるため、加速性能が良くなるメリットも期待できます。
噴射装置の性能について、以前まではどこか妥協している部分がありました。
しかし、コモンレールシステムが搭載されることで出力、燃費、排気ガスといったディーゼルエンジンならではの問題点を解決することに繋がったのです。
メリット4.補助金の対象になっている
コモンレールシステムはディーゼル車ならではの構造です。
そのため、ディーゼル車を購入することで「国の補助金の対象になるメリット」も期待できるでしょう。
具体的には「クリーンエネルギー自動車(CEV)等導入促進対策補助金」の対象になっています。
受け取れる補助金は「車両本体価格ー基準額」で計算されるため、車種によって異なります。
上限金額については15万円までとなっていることを覚えておきましょう。
ディーゼルコモンレールシステムのデメリット【2選】
ディーゼルコモンレールには、以下2つのメリットがあります。
・デメリット1.メンテナンス費用が高くなる
・デメリット2.給油のタイミングに注意が必要
デメリット1.メンテナンス費用が高くなる
コモンレールシステムでは、とくに「インジェクターの詰まり」や「汚れ」が発生しやすい傾向があります。
そのため、定期的なメンテナンスが必要であり、その分、点検費用も高くなるデメリットが考えられるでしょう。
他にもディーゼル車はオイル交換の期間がガソリン車よりも短い傾向もあります。
また、ディーゼル車に使用されるオイルはガソリン車用にオイルに比べて高額です。
結果的に、メンテナンス代が高くなることは避けては通れないでしょう。
デメリット2.給油のタイミングに注意が必要
ディーゼル車には軽油を給油します。
そのため、とくに寒冷地で長時間駐車する場合には、軽油の流動性が悪化してしまい、給油するタイミングには注意が必要です。
給油するタイミングを間違えてしまうと軽油が凍結してしまい、エンジンがかからない可能性も考えられます。
そのため、寒冷地での給油タイミングには細心の注意を払いましょう。
まとめ
今回は「ディーゼルコモンレール」について解説してきました。
コモンテールには電子制御を用いて最適な時期と圧力で燃料噴射を調整してくれる効果が期待できます。
また、コモンレールはディーゼルエンジンの性能を飛躍的に向上させるきっかけにもなりました。
しかし、いくら性能の良いコモンレールでも不具合が発生しやすい箇所は多々あります。
不具合部品について知識を深めつつ、もし不具合が発生した場合には最適な行動ができるようにしておきましょう。
この記事の内容を参考にして「コモンレール」についての知識を深めてみてください。