2003年に国が表だって始めた「自動車排出ガス規制」によりDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の設置が義務づけられました。
今回はこの「DPFの仕組み」と「DPFの強制再生」について考察していきます。
Contents
○DPFの仕組み
DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)は、軽油の燃えカス(PM)から出た微粒子の物質をフィルターで捕集する目的で作られたものです。
簡単にいうとDPFと呼ばれる特殊なフィルターで、軽油の燃えカス(スス)をキャッチして、再燃焼しキレイな排気ガスを出しますよ!という装置になります。
DPF再生の仕組みと流れ
①インジェクターから軽油を噴射する
②エンジンで軽油を燃やして車輌を動かす
③軽油を燃やした際に出る有害物質(PM)をDPFで捕まえる
④捕まえたPMを燃やす
⑤クリーンな空気を排出する
あまり知られていませんが、インジェクターは一度の燃焼する行程の中で、軽油を5段階に分けて噴射します。
パイロット噴射 ⇒ プレ噴射 ⇒ メイン噴射 ⇒ アフター噴射 ⇒ ポスト噴射
この5番目の噴射(ポスト噴射)で排気管に送り、DOC(酸化触媒)に燃料を導きます。
酸化触媒とは酸化触媒を通過する事で酸化反応させ、DPF内の燃焼温度を効率よく上昇させる役目があります。
上記の行程を経てDPFの温度は概ね600℃まで上昇し、DPF内のスス(PM)を燃焼する仕組みです。
DPFには3種類の再生方法があります
自動再生
コンピュータが自動で燃焼する再生方法。
車輌の走行中に、DPF内に一定の量のススが溜める事で自動燃焼を開始してくれます。
一般的には走行中にエンジンの回転数が上がり、水温が300℃近くまで上がったところでDPFの再生を行う機能です。
自動再生中にエンジンを切ってしまうと、燃焼が出来ずにDPFの詰まりを引き起こす場合があります。
手動再生
ユーザー側が意図的におこなう再生方法。
手動再生とは一旦車両を止め、高回転のアイドリングを行う。インジケータランプ・DPF再生ボタンを押すことで、手動再生が開始します。
インジケータランプが点滅している場合は必ず手動再生をおこなってください。(マツダを除く)
万が一、手動再生を中断した場合は、出来るだけ早く手動再生をおこなってください。
手動再生を無視した場合は、インジケータランプが点灯・エンジンチェックランプが点灯し、エンジン制御がかかります。(速度が40~50kmに制限されます)
こうなってしまうと、ユーザー側ではお手上げです。ディーラーか整備工場で修理をしてもらいましょう。
強制再生
ディーラー・特定の整備工場しか出来ない最終手段。
※画像は強制再生中の画面
ディーラーまたは、特定の整備工場で専用のテスター等を用いて行う。
DPFの内部を強制的に約600度近くまで上昇させ、DPF内に残ったPM(粒子状物質)の再燃焼する方法です。
複数回の強制再生にはご注意ください!
強制再生を複数回繰り返してしまうとDPFに負荷が掛かり、DPF内にある触媒が溶損する場合があります。
※画像は強制再生を繰り返したDPF
強制再生後、1週間~3週間内で再びチェックランプ・インジケータランプが点灯する場合は、触媒の交換・洗浄が必要になります。
なぜ再生間隔が短くなるのか
何度も何度も自動再生と手動再生・強制再生を繰り返しているのに、なぜDPFは詰まるのでしょうか。
その答えは明確で、アッシュは燃焼出来ないからです。
※画像はフィルター内部から出てくるアッシュ
上述した通り、自動再生と手動再生・強制再生を行なうとスス(PM)の燃焼再生は可能ですが、
エンジンオイルの燃えカス(アッシュ)は燃えずにDPF内部に残り続ける事がわかりました。
車種ごとに堆積しているアッシュをまとめてみました 詳しくはコチラ⇒
走行距離に比例して、DPF内にアッシュが堆積していきます。
このアッシュがDPFの内部に堆積していき、燃焼するためのスペースを奪っていきます。
焼却炉の中に燃え残った灰がたくさんあるイメージが分かり易いかもしれません。
焼却できるスペースが無い=スペースを作る 必要があります。
しかし、この作業は特殊な技術・施工が必要なため積極的にはおこなわれていません。
これが弊社で実施させて頂いているアッシュを取り除くための
DPFマフラー洗浄サービスです。
DPFの交換費用
DPFやDPRが詰まり修理完了や交換になった場合のコスト
車両が動かないほど詰まってしまった場合は、大半が以下の料金が掛かります。
普通乗用車 : 約20万円(部品代) + 工賃
2tトラック車 : 約40万円(部品代) + 工賃
4tトラック車 : 約60万円(部品代) + 工賃
10tトラック車 : 約100万円(部品代) + 工賃
しかし、これだけではなく作業を完了するまでの3営業日ほどは休車をよぎなくされる。
この損失コストは、法人や個人に限らず致命的であると判断できます。