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【ディーゼル車】シリンダーヘッドの役割・構造を徹底解説!
目次
ディーゼルエンジンの「シリンダーヘッド」ってどんなもの?
車を修理に出したら、シリンダーヘッドの洗浄が必要と言われて高額な見積もりをだされた…。
シリンダーヘッドの修理、エンジンオーバーホールと言われたけど必要なの?
そんな疑問をお持ちの方は多いと思います。
そこでこの記事では、特にディーゼル車のシリンダーヘッドの役割、構造、よくある修理事例などを画像つきで詳しく解説します。
そもそもシリンダーヘッドとは?
シリンダーヘッドとは、エンジンを構成している部品の1つです。
シリンダーブロックと対になってエンジンの土台を形成しています。
エンジンを1つの箱に例えるなら、シリンダーヘッドは箱の蓋の部分、シリンダーブロックは、箱の外側を形成している部分で、どちらもエンジンには欠かせない部品です。
発火方法や部品の配置、排気量、燃料などの違いはありますが、基本的な仕組みはトラックから乗用車、バイクに至るまで、ガソリンもディーゼルも同じです。
シリンダーヘッドの材質・製造方法
シリンダーヘッドはシリンダーブロックに比べて、絶えず高い負荷がかかるため、冷却効果が高く熱伝導性の高い材質のアルミニウム合金が多く使われています。
シリンダーヘッドの製造方法の多くは、基本となる形を低圧鋳造法によって作ります。
その後、切削加工のできる工作機械によって仕上げ削りがなされ、微調整が必要な部分は研磨加工によって最終仕上げが施されます。
負荷に耐えられるようにするため、部品を組み合わせるのではなく一体型として作られることが主です。
シリンダーヘッドの構造・役割
シリンダーヘッドの構造は大きく分けて、
・燃焼室の形成部分
・燃料供給・着火部分
・吸排気部分
の3つの部分で成り立っています。
シリンダーヘッドを構成するパーツ
燃焼室の形成部分
燃焼室とは、その名の通り供給された燃料を燃焼させる空間になります。
その燃焼室の上側をシリンダーヘッド、下側はシリンダーブロックが形成しています。
シリンダーヘッドと対になる形でシリンダーブロックにも円筒状の空間があって、そこにピストンと言われる筒状の金属棒が収められています。
ピストンが燃焼によって上下する往復運動が、コンロッド、クランクシャフトを介して回転運動に変わって、動力を各駆動系に与えています。
当然エンジンが動いている限り、燃焼は繰り返すのでシリンダーヘッドやピストン上面には絶えず高い負荷がかかっています。
燃料供給・着火部分
燃焼させるには、燃料の供給が必要なのでシリンダーヘッドには、インジェクターと呼ばれる部品が取り付けられます。
インジェクターは、燃料を霧状にして燃焼室内に供給する部品で燃料が燃えやすくしています。
またガソリンエンジンの場合、燃料をスパークプラグの火花によって燃やしているので点火装置も必要です。
ですが、ディーゼルエンジンの場合は、ガソリンエンジンの2倍ほどの圧力で空気を圧縮することで、熱を発生させてそこに軽油を噴出して着火しています。
これは、軽油の引火点がガソリンに比べて300℃と低く、空気の圧縮だけで引火点に達するためです。
空気をガソリン車より高圧で圧縮するため、ディーゼル車の燃焼室は高圧に耐えられるよう丈夫に設計されています。
給排気部分
燃焼には、常に新しい空気が必要です。
そのためにシリンダーヘッド側の燃焼室内には、吸気と排気用のバルブがそれぞれ設置されています。
燃焼の度に、常に開閉を繰り返しているので、エンジンが動いている間は、負荷がかかり続けています。
吸気と排気の開閉のタイミングはカムシャフトと呼ばれる金属棒で制御されていて、オルゴールの弦を鳴らすように、給排気バルブを開閉しているのです。
よくある修理事例
ガスケット交換
ディーゼル車に長く乗っていると修理で多いのがガスケットの破損です。
これはシリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に気密性を保つために挟まれている「シリンダーガスケット」と呼ばれる部品の劣化によって起こるものです。
ディーゼルエンジンは、先程もお伝えしたとおり、ガソリンエンジンに比べて圧縮時の内圧が高く、燃焼時の衝撃も大きいです。
そのため挟まれている、シリンダーガスケットに負荷がかかりやすいため壊れやすいです。
シリンダーブロックとシリンダーヘッドの間に隙間があくと、混合気が十分に圧縮されないため、エンジンのパワーダウンを感じることがあります。
エンジンオイルや冷却液の漏れが発生して、最悪の場合は、エンジンのオーバーヒートに繋がります。
水温の異常な上昇やシリンダーヘッド周辺の液体漏れなどの兆候が出始めたら要注意です。
ガスケット交換はシリンダーヘッドを外すため大掛かりな工事になります。
そのため交換するべきと思ったら早めに修理店に依頼しましょう。
シリンダーヘッド割れ
エンジンは冷却と高温を繰り返しているため、長年使用していると、シリンダーヘッドやシリンダーブロックの弱い箇所に割れが生じてきます。
割れが生じるとガスケット同様にオイル漏れや圧縮内圧低下など、発生してオーバーヒートの原因にもなります。
また、一度割れてしまうと専門の業者でないと直せない上に、修理には多くの時間とお金がかかります。
やはり、定期的にオイル漏れや油温計をチェックして、兆候がないか確認することが大事です。
エンジンオイル上がり・下がり
走行距離がかさんでくると、シリンダーヘッド周りの部品が劣化、摩耗してきます。
その結果、エンジンオイルが燃焼室に侵入してしまうオイル上がり・下がりが発生します。
オイル上がりは、ピストンに装着されているオイルリングが汚れていたり摩耗してくると、本来は燃焼室下のオイルパンに落とされるオイルが回収しきれず上に上がってしまい起こります。
オイル下がりは、シリンダーヘッドのカムシャフトや吸排気バルブを潤滑させるためのエンジンオイルがバルブ上部のオイルシール、パッキンが劣化してしまいオイルが燃焼室に侵入して起こります。
どちらも兆候として、
・エンジンオイルの消費が異常に早い。
・マフラーから白煙があがる。
・こげくさい臭いがする。
などが挙げられます。
オイル上がりか下がりかの判断は、実際のところシリンダーヘッドを開けてみないとわかりません。
ですが、症状ははっきりしているので、気をつけていれば早めに対処できます。
こちらも診断と修理に時間とお金がかかるので早めに異常に気づくことが大切です。
まとめ
この記事ではディーゼルエンジンのシリンダーヘッドの製造方法や構造、修理事例を紹介しました。
構造や特徴を理解して、日頃から自己点検を行うことや、早い段階で故障に気づくことで、急なトラブルを事前に予防することができます。
皆さんも車の基本的な知識を身につけて、賢く長く大切に車とつきあっていきましょう!