
エレメントとは?オイルフィルターとの違いは?交換時期も解説!
目次

物流現場で最も避けたいのは、定期点検のつもりが走行中に「オイル圧が低下!」とアラートが鳴り響くことです。特に、車検時に部品交換のコストが不透明だと、どこを見直せばいいのか判断に迷いが生じます。
エンジン内部の清浄度を左右する”エレメント”は、DPFと同じく汚れをキャッチして、きれいな流体を維持する重要部品。
本記事では、エレメントの役割から交換のタイミング、現場で使えるチェックポイントを解説します。車検コストの不透明感を解消し、効率的なメンテナンス計画をしっかりサポートする情報をお届けします!
エレメントとは?
エレメントとは、エンジンオイルに含まれる汚れや異物などの不純物をキャッチし、潤滑油をキレイに保つろ過紙を内蔵した部品全体のことです。金属製の外筒に収まったひだ状フィルターが実働部分で、微細な異物をしっかり取り除くことでエンジン内部の摩耗や燃費低下を防ぎます。
オイルフィルターとの違いは?
車検や定期点検で「エレメント交換」や「オイルフィルター交換」と聞いて戸惑ったことはありませんか?
実はこの二つ、呼び方が異なるだけで交換対象は同じ部品です。一般的には「オイルフィルター(外装(ケース)付きカートリッジ)」と「オイルエレメント(内部ろ紙部分)」は同じ意味で使われることが多いですが、車種によってはフィルター部分のみ交換する構造もあります。整備時には車種や年式に応じて確認が必要です。
つまり、車検後に「エレメント交換」や「オイルフィルター交換」と言われても、同じ作業だと理解して問題ありません。
画像で説明
先ほどの解説を視覚的に示すと、以下の図のようになります。
図中では、部品全体を「オイルフィルター」、内部のひだ状になっているフィルター部分を「オイルエレメント」と呼ぶのが一般的です。

役割は?
エレメントの主な役割は、エンジンオイル中に混じった金属粉、カーボンなどの異物を確実に捕捉し、常にきれいな潤滑油をエンジンへ供給することです。これにより、シリンダーやベアリングの摩耗を防ぎ、燃費低下やエンジントラブルを未然に回避できます。
さらに、定期的なエレメント交換は
・交換サイクルが明確で見積もりに組み込みやすく、車検時のコストが見えやすい
・長距離運転や積載増加といった過酷条件下でも安定したエンジン性能を維持
・大掛かりなオーバーホールや想定外修理を抑制し、総メンテナンスコストを最小化
こうして計画的にエレメント交換を行えば、車検費用の内訳もクリアになり、整備項目がイメージしにくいという悩みを解消できます。
DPFとは“お仕事仲間”の関係

エレメントとDPFは、エンジンと排気の“クリーン化”を二人三脚で支える要のパーツです。
DPFは、煤(スス)をキャッチしてクリーンな排気を実現。有害な物質の排出を防ぎ、環境規制への対応に貢献します。
一方、オイルエレメントは同じく“ろ過”という手法で、エンジンオイル中のスラッジや金属粉を除去。潤滑油をきれいに保つことでシリンダーやベアリングの摩耗を抑え、エンジン性能と燃費を守ります。
このように、DPFが「排気をきれいにするフィルター係」、エレメントが「潤滑油をきれいにするフィルター係」として役割を分担。
両者を適切にメンテナンスすることで、車検時の予防整備としての効果も高まり、不要な修理コストを抑えることができます。
交換時期の目安と判断ポイント
車検や日常点検の計画を立てるうえで、エレメント交換のタイミングを明確に把握しておくことはコスト管理の要です。
走行距離や期間ごとの推奨サイクルに加え、現場で簡単に確認できる劣化サインやチェックポイントをご紹介します。
交換のおすすめサイクル
エンジンオイルは一般的に5,000~10,000kmまたは半年~1年ごとに交換するのが目安とされています。
オイルエレメントはこのオイル交換2回に1回のタイミング(約10,000~20,000kmまたは1~2年)で交換するのが基本。
ただし、オイル劣化の進み具合や耐久性を確保するために、オイル交換と同じタイミングでエレメント交換を合わせる「オイル交換時に毎回エレメントも交換」を選ぶ現場も増えています。
あらかじめ交換周期をスケジュールに組み込めば、車検見積もりの内訳が明確になり、コスト管理が格段にラクになります。
※メーカーやオイルの種類によって推奨交換時期は異なるため、車両の整備手帳やメーカー指示を確認してください。
走行スタイル別の調整ポイント
★短距離・頻繁なアイドリングが多い車両
頻発するエンジン停止・始動や長時間のアイドリングではオイル内に煤(スス)や水分が溜まりやすく、ろ過紙に汚れが蓄積しやすくなります。
そのため、交換サイクルを目安より20%~30%早め、10,000km手前や半年ごとの点検時にチェックしましょう。
★長距離・高速道路走行が中心の車両
高温高負荷でオイルの性能劣化が早まりますが、同時に高い流量でろ過が効率的に行われるため、目安どおりのサイクルでも十分対応可能です。
ただし、ディーゼル車は特に金属粉やカーボンが多いため、10,000~12,000kmを上限に交換するのがおすすめです。
★悪路・積載過多の車両
ほこりや異物の混入リスクが高まるため、短距離・アイドリング車両と同様に交換時期を早める必要があります。10,000kmを超える前に一度フィルターの目詰まり具合を確認し、必要であれば前倒し交換を検討してください。
これらを踏まえれば、使用状況に応じた最適な交換スケジュールが立てやすくなり、車検時のコストと整備項目の見える化に繋がります。
劣化サインの確認方法
エレメントの劣化は、車両管理者が手軽に確認できるサインを押さえておくことが大切です。
以下のポイントを定期点検時にチェックしましょう。
・オイル圧力警告灯の点灯
フィルター詰まりでオイルの流量が低下すると、ダッシュボードのオイル圧力警告灯が反応する場合があります。警告が頻繁に点灯するようなら、エレメントの詰まりを疑い、早めの交換を検討してください。
・オイルの色、濁り具合
規定量のオイルを抜いたとき、油色が黒く濁っていたり、金属粉が見える場合はフィルターのろ過能力が落ちている証拠です。抜いたオイルに異物が沈殿していないかどうかも併せて確認しましょう。
※ディーゼル車の場合、オイルは走行初期でも黒く変色するため、色だけでは劣化の判断は難しい場合があります。粘度やにおい、沈殿物の有無も併せて確認しましょう。
・エンジン音、振動の増加
摩耗粉が十分に除去されていないと、アイドリング時や低速走行で「カリカリ」という異音や振動が発生することがあります。異音を感じたらフィルターの状態をチェックしてください。
・オイル交換時の目詰まりチェック
オイル交換作業中にフィルターを外し、目視でひだ部分の汚れや詰まり具合を確認します。ろ紙の隙間に泥状のスラッジがこびりついていたら、交換タイミングを過ぎているサインです。
・点検記録の確認
過去の交換履歴や走行距離、使用状況を一覧表にまとめ、推奨交換時期を過ぎていないか定期的に確認しましょう。記録を残しておくことで、交換漏れによるトラブルを防げます。
これらのサインを組み合わせて早期発見・交換を行えば、車検時の交換コストを予測しやすくなり、不具合による突発的な整備費用を抑えることが可能です。
まとめ
いかがでしたか?
DPFが煤(スス)をキャッチするのと同じように、エレメントはエンジンオイル中のスラッジや金属粉を取り除く「フィルター仲間」です。呼び名が「エレメント交換」や「オイルフィルター交換」となりますが、交換対象は同じ部品です。
交換時期を目安どおりに守れば、エンジンの調子をキープしながら排気性能も落とさず、車検時のコストも見通しやすくなります。
ちょっとした点検習慣で無駄な修理を防ぎ、安心して長距離運用できる車両管理を目指しましょう!