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【トラブル解決】DPF目詰まりの黒幕はここ!
目次
修理しても、またもや再点灯するDPFランプ!!
詰まりを直したらさくっとランプ消灯、さくさく走行…のつもりだったのに….!?
DPFドットコムに寄せられる、多数のお問い合わせと経験をDPF点検時にお困りの皆様にご提供いたします。
何かのご参考になればと思います。
- DPFランプが点灯、点滅・・・
- DPF再生のために路肩で停車を強いられる・・・
- DPFランプ点灯によりエンジン出力制御がかかって速度が出ない・・・
そもそもDPFは煤(スス)を捕集する装置にすぎません。
インジェクターのポスト噴射によって酸化触媒に送り込まれた燃料が、
燃焼する熱を利用して捕集した煤(スス)を燃焼・処理するためのスペース
それがDPFなのです。
もちろん、エンジンオイルの燃えカスであるアッシュ(それ以上燃えない灰のようなもの)が堆積することにより、煤(スス)を捕集するスペースそのものが減ってしまうことは、経年の使用により、避けられません。
しかし、洗浄やリビルト交換・新品交換をしたにもかかわらず、明らかに早くDPFランプが点く場合があるのです!!
DPF不良を発生している根本の原因は何なのか。
その可能性のある部品についてみていきましょう!
DPF異常の原因
DPF異常を引き起こす要因として考えられるのは、以下の4種類です。
① DPFの処理能力を超える黒煙の発生
② DPFでの再生機能不全
③ センサーの故障
④ 酸化触媒(DOC)の劣化
それぞれについてみていきましょう。
DPFの処理能力を超える黒煙の発生
インジェクター(燃料噴射装置)の詰まり
経年の使用によるインジェクターの詰まりはほぼ確実に起こります。
燃料が高温・高圧環境下に置かれるため、脂肪酸塩系、エステル系、アミン系などの”デポジット”と呼ばれる堆積物が生成され、
・燃料噴射口
・インジェクター内部のニードル
・燃料ポンプのサクションコントロールバルブの摺動部
などへ付着します。
これにより、
★1.噴霧形状の異常
(噴霧燃料の不均一化、粒子の粗大化など)
★2.噴射動作の異常
(可動部へのデポジット付着による動作不良→噴射パターンに異常)
などの異常が発生するのです。
★1.噴霧形状の異常により、均一かつ高効率な燃焼ができなくなることで、不完全燃焼による黒煙の大量排出や、未燃焼燃料による白煙の発生が起こります。
★2.インジェクターの噴射動作の異常により、5段階ある以下の噴射パターン
①パイロット噴射
②プレ噴射
③メイン噴射
④アフター噴射
⑤ポスト噴射
の精密な動きが乱され、
・アフター噴射消失による排出煤(スス)の増加
・ポスト噴射消失によるDPF再生時の昇温異常/煤(スス)燃焼不良
などが発生します。
このような理由でDPF目詰まりが早期に引き起こされるのです。
※インジェクター補正量が適正な場合でも、他の部位の詰まりによる噴霧異常によって不具合は発生し得ます。
EGRクーラー、インテークマニホールドの煤(スス)詰まりチェック
エンジンで発生した排気ガスの一部をエキマニからインマニへ再循環するシステムがEGRです。
これにより、吸気における酸素量割合を下げ、燃焼温度を下げるなどの効果があります。
しかし、煤(スス)を含んだ排気ガスを再循環させるため、管内や熱交換器内で煤(スス)による詰まりを発生します。
場合によっては、管径の9割が詰まっていることもあります。
正常な吸排気コントロールができなくなるため、排気温度異常や煤(スス)発生量増加が考えられます。
エアフィルターの詰まりチェック
吸気系の初めにあるエアフィルターですが、吸気抵抗になるほどの砂塵による詰まり等がある場合、正常な吸排気コントロールができなくなるため、排気温度異常や煤(スス)発生量増加が考えられます。
DPFでの再生機能不全
EGRバルブ、エギゾーストガスコントロールバルブ、等の動作不良
バルブ類への煤(スス)固着や、サビ等が原因となりバルブ開閉が行われなくなることで、排気温度のコントロールができなくなります。
特に、DPF再生が行われるためには、排気シャッターバルブを絞り、排気温度が一定以上に上がる必要があります。
しかし、バルブが固着していると排気温度が上がらなくなりDPFの自動再生に入らない、手動再生が終わらないなどの症状が起こるのです。
サーモスタットの劣化チェック
ラジエーターの温度制御をしているサーモスタットが劣化し、冷却水温度が計測できず、DPFの再生に入らない不具合が出る可能性があります。
排気漏れ
エンジン~DPFの間でフランジやベローズ(蛇腹)などから排気漏れがある場合、排気温度が上がらずDPF自動再生に入らないケースが多いです。
センサーの故障
DPFでは差圧センサーや温度センサーなど、あらゆる部分で状態をモニターしており、DPFランプの点灯・点滅に関わる色々なデータを随時拾っています。
しかし、DPFの異常高温によりセンサーが溶けたり、排気ガス圧によって後方ズレを起こした酸化触媒にセンサーが干渉(めり込んだり、折れたり)するなど、センサーそのものが損傷するケースも少なくありません。
見た目では異常がなくても、劣化や断線によりセンサーとして機能していない場合もあります。
酸化触媒(DOC)の劣化
推奨燃料やメーカー指定オイル以外の使用に伴う排気ガス中の硫黄分増加による、触媒被毒の影響でDOCの劣化が起こり得ます。
また、添加剤によっては触媒表面を被覆し、触媒性能を落とすこともあります。
さらに、ターボなどからのオイル回りがある場合も、触媒性能低下が起こり得ます。
そして、高温下で長く使用する過程において、触媒上の白金粒子(直径:数ナノメートル)が移動、結合し粗大化(直径:数十ナノメートル)することで触媒面積が低下するという劣化も起こり得るようです。
これらのDOC劣化現象により、再生による煤(スス)燃焼が上手く行えないことが考えられます。
インジェクター、EGR、各種バルブ、センサーの整備・点検をお願いします!
いかがでしょうか。
DPFを早期目詰まりさせる原因が、DPFに入る手前にも多数存在することが内容からお分かりいただけたと思います。
DPFドットコムの多数、各社DPFを取り扱ってきた経験から、DPFを変えれば症状が治まるケースはおおよそ半数であり、残りの半分はDPFを新品やリビルト品に交換されても、数週間~数か月で同様の症状が再発することがあります。
せっかく、洗浄・リビルト品を施工、購入した商品が、また再度数か月で整備工場行きにならないようにするためにも、DPF交換時には今一度、インジェクターやEGR、各種バルブ、センサー類の整備・点検をオススメします。