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【ラジエーター】クーラント?エンジン冷却水?仕組みから故障原因まで徹底解説!
目次
ラジエーターはエンジンのオーバーヒートを防ぐためには欠かせない装置です。
ラジエーターが故障してしまうと、エンジンが焼き付いてしまったり、エンジンが壊れてしまったり大きなトラブルへと繋がります。
トラブルを防ぐためにも詳しい知識は必要ですね!
この記事ではラジエーターの仕組みや構造、故障の原因など詳しく説明していきます!
ラジエーターとは
ラジエーターは主に車のフロント内部のエンジン近く、ナンバープレートの裏あたりに取り付けられています。
冒頭で、エンジンのオーバーヒートを防ぐためには欠かせない装置とお伝えしましたが、なぜ必要なのか、そもそもラジエーターって何?というところから説明していきます。
ラジエーターの役割
エンジンを冷却すると言ってもラジエーターが直接冷却しているわけではありません。
冷却液という液体を適正な温度に戻したり冷やしたりして、その冷却液がエンジンを冷やしてくれます。
エンジンを冷やした冷却液は、高温状態で戻ってきます。
それをまた冷やして送る、という作業を繰り返し行っています。
ラジエーターの種類
ラジエーターは「縦流れ式ラジエーター(ダウンフロー)」と「横流れ式ラジエーター(クロスフロー)」の2種類に大きく分けられます。
2つの違いは冷却液を流す方向です。
縦流れ式ラジエーターは、高温状態の冷却液を重力で上から下に流す構造になっています。
横流れ式ラジエーターは、高温状態の冷却液を横から水平に流す構造になっています。
コアとリザーバータンクが2つあるのが特徴で、縦流れ式ラジエーターよりも効率よく冷却液を冷やすことができます。
ラジエーターの仕組み
ラジエーターが冷却液を冷却している仕組みを、縦流れ式ラジエーターで説明していきます。
エンジンの熱を奪い高温状態の冷却液はホースを通って、ラジエーターの上部にある「アッパータンク」に溜められます。
アッパータンクから「コア」を通り、ラジエーターの下部にある「ロアータンク」に溜められます。
コアを通っている間に自然風で冷やされるという仕組みです。
冷やされた冷却液はロアータンクからまたエンジンに送られます。
ラジエーターの構造と冷却装置
エンジンの冷却装置はラジエーター自体が高温化してしまうのを防ぐパーツと、ラジエーター内の圧力が高くなったときに冷却液の量を調整するためのパーツで構成されています。
アッパータンク
アッパータンクはラジエーターの上部にあり、エンジンから送られてきた高温状態の冷却液を一旦溜めておくタンクです。
エンジン側にある冷却液の出口「ウォーターアウトレット」から伸びている「アッパーラジエーターホース」が繋がっていて、熱くなった冷却液の入り口になるタンクです。
コア
コアは高温状態の冷却液を適正温度に冷やすところです。
冷却液が流れる「チューブ」と、走行中の通風で効率よく冷やせるようにするために表面積を広げる「フィン」で構成されています。
フィンは「コルゲートフィン」と「プレートフィン」に分けられます。
コルゲートフィンはチューブとチューブの間に付けられている波上のフィンです。
プレートフィンはチューブ全部をつなぐ板が配置されています。
ロアータンク
ロアータンクはエンジンの下部にあり、コアで冷やされた冷却液を溜めるタンクです。
ロアータンクからエンジンに「ロアーラジエーターホース」が伸びていて、冷却口の入り口になる「ウォーターインレット」に繋がっています。
ラジエーターキャップ
ラジエーターキャップはただの蓋ではありません。
ラジエーター内を密閉して圧力をかけます。
圧力をかけることで冷却液の沸点を高くすることができ、100度を超えても沸騰するのを防いでくれます。
そのため「密閉弁」「加圧弁」「負圧弁」の3つの弁を備えています。
圧力が高くなりすぎると、余分な高温状態の冷却液をリザーバータンクに戻し、冷却液の温度が下がると、リザーバータンクからコアに送り込む働きをします。
リザーバータンク
リザーバータンクは、ラジエーターキャップの圧力調整で高温状態の余分な冷却液を溜めるためのタンクです。
「オーバーフローホース」と呼ばれるホースでラジエーターと繋がっています。
冷却ファン
冷却ファンはラジエーターの後部に付いていて、自然通風が起こらない停車中でも、冷却液を冷やすために強制的に風を起こすパーツです。
本来走行中の自然風を利用して冷却液を冷やしていますが、停車中はその自然風が無くなります。
そのタイミングで「冷却ファン(クリーングファン)」が強制的に通風を起こし、冷却水を冷やしています。
ホース
ホースは冷却液が流れる通路になります。チューブとも呼ばれます。
エンジンとラジエーターやリザーバータンクとラジエーターを繋いでいるホースと、ラジエーターのコア内部を通っているホースがあります。
冷却水がパーツからパーツへ流れる際には、必ず必要な部品になります。
ラジエーターの故障について
ラジエーターが故障すると、エンジンが冷やすことができなくなり、オーバーヒートの状態になってしまいます。
オーバーヒートが起こるとエンジンが焼き付いたり、壊れてしまったり、大きなトラブルに繋がります。
ラジエーターが故障したサイン
ラジエーターが故障してしまうと何かしらのサインが出ます。
そのサインを察知したら、すぐに車を止めてエンジンの温度を下げる必要があります。
3種類のサインが出るので1つずつ説明していきます。
- エンジンルームから甘い匂いがする
オーバーヒートで温度が高くなり、冷却液が蒸発した時の特有の匂いです。
高音になった冷却液が沸騰し、漏れているときに出てきます。
車が一時停止しているアイドリング状態や、ゆっくり低速で走っているときに気づくことが多い警告です。
- 水温警告灯が点灯する
冷却液の温度が高すぎると水温警告灯が赤く点灯します。
車種によっては、冷却液の温度が低すぎることを知らせる低温警告灯(青く点灯する)も備わっている場合もあるので、マニュアルで確認しておきましょう。
- 水温計が「H」を指す
水温警告灯と一体になっている事が多く、簡易的なものであればCとHの表示のみになっています。
水温計がHを指している時は、冷却液の温度が120~130℃になっていて大変危険な状態です。
ラジエーターが故障する原因
なぜラジエーターが故障してしまうのか気になりますよね。
主な故障の原因は、パーツの劣化による冷却液漏れがほとんどです。
ラジエーターを構成するタンクやホースが劣化してしまう原因を含めて、5つ説明していきます。
- 冷却液の劣化
冷却液交換不足が原因で冷却液が劣化してしまいます。
冷却液が劣化してしまうとタンクの劣化に繋がり、結果的に冷却液の漏れに繋がります。
車検のタイミングで交換するのが通常ですが、これを怠っていると劣化に繋がります。
- 冷却液不足
タンク内の冷却液が蒸発して冷却液が不足してしまうと、量不足によるオーバーヒートが起こってしまいます。
オーバーヒートもラジエーターの故障に繋がるので、オーバーヒート防止のためにも冷却液の比重は大切です。
- ラジエーターキャップの劣化
ラジエーターキャップについているゴムパッキンと、バネが劣化しやすく故障に繋がります。
ゴムパッキンはラジエーター内を密閉するためにあり、バネは圧力を調整するためにあります。
この2つが劣化すると、ラジエーター内を密閉できず、圧力調整ができなくなります。
密閉できなくなると冷却液の漏れに繋がり、圧力調整できなくなるとリザーバータンクに余分な冷却液を送る機能やラジエーター、冷却液を戻す機能に不具合が出てしまいます。
- ラジエーターホースの劣化
ホースが劣化してしまうと亀裂が入り冷却液が漏れてしまいます。
温度の変化には強い樹脂で作られていますが経年劣化してしまうので、走行距離10万㎞を目安に交換しましょう。
- タンクの損傷
タンクの損傷は冷却液の漏れの原因になります。
特にアッパータンクは、高温の冷却液を溜めるのでロアータンクに比べて劣化しやすいので注意が必要です。
事故などの場合には、ロアータンクも損傷しやすいので点検修理が必要です。
ラジエーターのメンテナンス
ラジエーターの故障原因になる不具合は車検や定期点検でチェックします。
それに加えてセルフメンテナンスもできれば安心ですね。
セルフのチェック方法やメンテナンス方法を紹介していきます。
冷却液の残量チェック
冷却液の残量は、リザーバータンクの側面にある目盛りでチェックすることができます。
「LOW」や「MIN」より少なくなっていたり、ギリギリになっていたりすると補充しなければいけません。
冷却液は赤、緑、青、ピンクの4週類あり、クーランドとも呼びます。
液に色がつけられている理由は漏れなどのチェックがしやすくなるためです。
冷却液を補充する場合は、入っている冷却液と同じ色のもので、単純に補充するだけで済む“希釈済”のものを補充してください。
ホースのチェック
上部についているアッパーラジエーターホースとオーバーフローホースは目視しやすいですが、ロアーラジエーターホースは下部に付いているため目視しづらいのが難点です。
チェックは、ひび割れがないか・弾力性があるかを確認します。
冷却ファンの動作確認
冷却ファンの動作確認は、車を走らせエンジンが暖まった状態で停車し、アイドリング状態でファンが正常に動いているかを確認します。
電動ファンの場合は、エンジンを切り冷却液が冷え始めると、センサーが冷却液の温度を察知して、電動ファンを停止させます。
このようにセンサーが正常に動作しているかも確認しましょう。
ベルト駆動式の冷却ファンの場合は、エンジンを切ってファンが停止してから、充分エンジンが冷めた状態で、ファンベルトの張りやひび割れをチェックしてください。
まとめ
ラジエーターの仕組みから故障の原因、メンテナンス方法など理解できましたか?
とても重要な役割を担っているラジエーター、セルフチェックやメンテナンスでしっかり故障を予防しましょう。