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インタークーラーは故障するの?症状や原因・対策などを解説
目次
インタークーラーは、ターボチャージャーで圧縮された空気を冷やすための装置ですが、長く使用すれば壊れることもあります。
特にグリルは事故を起こした際、よくぶつける箇所です。
グリルの裏に取り付けられているインタークーラーは、事故を起こすと壊れてしまう可能性が高くなります。
また、インタークーラー内にオイルは流れていませんが、年式の古い車ではオイルの滲みが発生していることもあり、そのまま放置し続けるとさまざまな症状が現れてしまうのです。
今回は、インタークーラーが故障した時の症状や、原因などを解説していきます。
インタークーラーはターボの空気を冷ますパーツ
インタークーラーは、ターボ(過給機)によって圧縮された空気を冷やす役割を持っています。
ターボチャージャーでは、排気ガスの流れを利用してタービンを回し、吸入する空気を大量に押し込むことで圧縮させ、大きなパワーを作り出しているのです。
空気が圧縮されると熱を持ちます。
熱を持ったまま空気を取り込んでしまうと、うまくパワーを作り出すことができないため、インタークーラーによって空気を冷やしています。
ちなみにNAと呼ばれるノンターボ車には、インタークーラーは必要ありません。
インタークーラーの構造は比較的簡単で、空気を冷やす部分であるコアと、入り口や出口などで空気をまとめるサイドタンクの2つのパーツで構成されています。
コアの部分はインナーフィンとアウターフィンの2種類から構成されており、波打った独特な形状が特徴的です。
事故でインタークーラー故障する?
事故車では、よくバンパー周りをぶつけているイメージがあると思います。
基本的に前進走行が多い車において、バンパーやグリルなどは最もぶつける頻度の高い箇所です。
エンジンルームがあることで、ぶつけた時の衝撃を吸収し、運転者に直接衝撃が伝わらない工夫がされているのです。
そのためエンジンルームの最も先頭にある、ラジエーターやインタークーラーなどは事故が起こった際、壊れることが多く、交換頻度の高いパーツであるといえます。
特にコアの部分に大きな損傷があると、修理することは難しく、パーツごと交換という流れが一般的です。
インタークーラーのエア漏れ
インタークーラーのエア漏れは、インタークーラーのコア部分に設置されているインナーフィンの損傷によって引き起こされます。
インナーフィンが設置されている箇所は、冷却する空気の通り道なので、穴が開いてしまうと空気が外に逃げてしまいます。
気体である空気はどんな小さな穴からも通り抜けるため、目視で確認できないほど小さな穴でもブースト圧が下がり、パワーダウンにつながってしまうのです。
エア漏れの症状
インナーフィンの損傷によりインタークーラーから空気が漏れている場合、アクセルを踏み込んでもなかなかパワーが出なくなってしまいます。
小さな穴であればパワーダウンするだけですが、大きな穴が開いておりターボから送られてきた空気がすべて逃げてしまっている場合は、車が走らなくなってしまう可能性もあります。
走行中にパワーが出ないなと感じるのであれば、エア漏れを疑ってみるとよいでしょう。
インタークーラーのフィン潰れ
先ほどはインナーフィンの損傷についてご説明しましたが、アウターフィンが潰れすぎていても走行に影響がでてきます。
アウターフィンの強度は低く、手で押すだけで簡単に潰れてしまうほどの強度しかありません。
走行中に小石などが当たれば、当たった部分が潰れますし、使用する年数が長ければ石などが当たる回数は必然的に多くなります。
また、修理などで取り外す際なども、気をつけておかなければ手や工具が当たり、フィンを潰してしまう可能性もあるのです。
アウターフィンはフィン本体に走行風を受けることで、高温の空気を冷ましています。
つまりアウターフィンが潰れてしまった場合、放熱がうまくいかず空気を冷ますことができないということです。
結果、吸気温度の上昇につながります。
フィン潰れの症状
アウターフィンの潰れはインナーフィンのようにすぐ症状が出ることはありませんが、潰れたフィンが多すぎると、空気をうまく冷却できなくなってしまい、パワーダウンにつながります。
ターボは動いているけど、加速がうまくいかないなと感じた場合、一度インタークーラーを確認してみることをオススメします。
インタークーのタンク割れ
インタークーラーのタンク割れは主に事故などで、大きな衝撃が加わった場合に起こります。
また劣化によって割れる場合もあるため、衝撃が加わっていないからといって絶対に割れないわけではありません。
タンクが割れてしまうと、割れた部分から空気が漏れます。
割れる箇所は違いますが、インナーフィンの損傷と同じ理屈であると考えてもらえれば、イメージしやすいのではないでしょうか。
タンク割れの症状
インタークーラーのタンクが割れるということは、割れた部分から空気が漏れていくため、エア漏れと同じ症状が現れます。
タンク割れは比較的簡単に見つけることができるので、車が走らなくなったと感じた場合、まずはタンクを確認してみましょう。
インタークーラーのオイル滲み
インタークーラーからオイルが滲んでいた場合、どこかのオイルが漏れているもしくは、「ブローバイガス」のオイルがインタークーラーまで届いてしまったと考えられます。
ブローバイガスとはクランクケースに溜まった、排気ガスや未燃焼ガスのことを指します。
昔は大気放出していましたが、排気ガス規制により再度燃焼させ、排気ガスをできるだけクリーンな状態にしているのです。
このブローバイガスにも若干ですがオイルが含まれています。
吸気工程でターボから送られてきたブローバイガスのオイルが、少しづつインタークーラーに流れ、オイル滲みとなってしまうことがあるのです。
また、急にオイル滲みの症状が現れた場合、ターボの中にあるタービンの軸からオイルが漏れているという可能性も考えられます。
シールの劣化やPCVバルブというパーツの故障でも、ターボからのオイル漏れが発生するため、インタークーラーからオイルが滲んでいた場合、ターボチャージャーの可能性も視野に入れておきましょう。
オイル滲みの症状
もし白煙が発生してるのであれば、インタークーラーのオイル滲みが原因かもしれません。
インタークーラーに滲んでいるオイルが、インタークーラーを通り過ぎ、燃焼室まで届いてしまうと、白煙を発生させます。
つまりオイルも一緒に燃やしてしまっているということです。
ブローバイガスからのオイル滲みはどうしても起こってしまう現象です。
特に年式の古い車に多く発生します。
白煙の原因はいろいろありますが、原因の一つとして覚えておきましょう。
インタークーラーを長く使うための対策ってあるの?
インタークーラーを故障させない対策は、走行中に石が当たらないように物理的に防ぐ方法が挙げられます。
具体的には、グリルやエアダクトに網を張るという方法です。
また、オイル滲みの対策としてはコア洗浄もしくは、インタークーラー本体を全て洗浄すれば、一時的ではありますが、インタークーラー内に入っているオイルを取り除くことができます。
注意点としてインタークーラーを取り外す際は、フィンの部分を潰さないよう慎重に作業しましょう。
年式が古い車はオイル滲みの可能性が高いので、一度チャレンジしてみてはどうでしょうか。
インタークーラーは事故以外で壊れることはあまりない
ここまでインタークーラーの故障についてご紹介してきましたが、実は劣化によるインタークーラーの故障はあまりなく、事故などで壊れる可能性の方が圧倒的に高いのです。
事故以外でよくトラブルが起こる箇所としては、インタークーラー本体よりも、インタークーラーに接続しているホースの劣化が挙げられます。
経年劣化によりゴムが破れエア漏れが起こるため、人によってはゴム製のホースから、「パイピング」といわれるアルミパイプに変更する方もいます。
もしホースの劣化が気になるのであれば、一度検討してみることをオススメします。
まとめ
インタークーラーの故障には、「エア漏れ」「フィン潰れ」「タンク割れ」「オイル滲み」などが考えられます。
それぞれ症状や故障の原因、対策方法には違いがあるため、自分の走行環境ではどんな故障が発生しやすいかをまずは考えてみることが大切です。
年式が古い車であれば、オイルが滲んでいる可能性が高く、山道などをよく走っているのであれば、小石や木の枝などがグリルにぶつかってしまう可能性は高くなります。
また、インタークーラーの劣化による故障は少ないという背景もあるため、事故をしない運転を心がける、という最も初歩的な部分が一番大切だといえるのではないでしょうか。